不法滞在の状態を何とかしたい、尚且つ出来る事ならこのまま日本での生活を継続したい。
そんな思いを胸に秘め、出入国在留管理局(入国管理局)へ出頭申告する場合は出来る限り状況を確認出来る資料などを持参しましょう。もちろん旅券などの身分確認が出来るものだけを持参して出頭する事も可能ですが、事前準備が可能ならしっかりと整えて出頭時に提出するほうが良いでしょう。色々な状態の方々が居ますが、ここでは日本の方と婚姻したケースで紹介します。
日本の方と婚姻し、在留特別許可を求めて出頭申告をする際に準備すべき提出書類は大きく分けて3種類有ります。
まず第一は作成する指定書式の書類、申告書、陳述書、質問書、配偶者履歴書など。第二に出頭者(不法滞在中の方)に関する資料。第三に身元保証人(婚姻相手)が準備すべき資料。その他個々の状況に応じて勘案する資料となります。この手続は申請行為では無いので出入国在留管理局(入国管理局)サイトに掲載は有りません。退去強制手続の流れに乗ることになります。
【 日本の方と婚姻した不法滞在中の方が、出頭申告する際に提出する資料 】
一)作成する書類(指定書式が有ります)
1. 申告書 … 本人基本事項、違反事実内容、出頭した理由を記載し署名押印
2. 陳述書(8頁+別紙)… 真実を正確に記入すること(本人基本事項、違反事実、交際経緯、経歴、家族関係など)
3. 質問書(配偶者)… 二人の関係、不法滞在の事実を家族や友人と共有しているか、交際経緯、現在の生計状況などを記載
4. 履歴書(配偶者・日本人用)… 学歴(小学校から)、職歴、婚姻歴、家族構成などを記載
5. 身元保証書 … 日本人配偶者による滞在中の法令遵守、生活費などの負担を誓約する書面
二)出頭者(不法滞在している方)に関して準備する資料
6. 旅券(全頁コピー)… 期限切れ含め、手元に有る旅券全て(偽変造旅券でも隠さずに提出します)
7. 在留カード・外国人登録証の原本(両面コピー)… 手元に有る在留カード、外国人登録証全て
8. 証明写真 4枚 … 縦5cm、横5cm、無帽無背景の証明写真
9. 出生証明書 … 本国機関発行の出生証明書類 ※日本語訳添付
10. 婚姻証明書 … 本国での婚姻登録が出来ている場合 ※日本語訳添付
11. 在職証明書 … 出頭時に就労活動をしている場合、勤務先任意書式で発行手配
12. 収入関係証明資料 … 給与明細、源泉徴収票、住民税の課税証明書・納税証明書(取得可能な場合)
三)出頭者の配偶者(身元保証人)が準備する資料
13. 旅券(全頁コピー) … 二人の交際期間に該当する場合は現行旅券以外の古い旅券も
14. 健康保険証(両面コピー)… 別途、運転免許証など他の身分証コピーも可能な範囲で
15. 婚姻届記載事項証明書 … 婚姻届出を行った市区町村役場で取得(婚姻届出時に提出した全添付書類一式の写し証明)
16. 戸籍謄本 … 二人の婚姻事実記載が有るもの、離婚歴などの確認が必要な場合は改製原戸籍(過去の事実関係)も手配
17. 住民票写し … 世帯全員記載 ※マイナンバーの項目のみ記載省略で
18. 住民税の課税証明書 … 直近1年分
19. 住民税の納税証明書 … 直近1年分 ※滞納が無いこと
20. 国民健康保険税の納税証明書 … 国民健康保険の場合直近1年分 ※滞納が無いこと
21. 年金の被保険者記録回答票 … 社会保険事務所窓口、電話での郵送依頼、ネット手続のいずれかで手配
22. 在職証明書 … 勤務先任意書式で発行手配(法人役員などの場合は法人謄本、自営業の場合は営業許可証写しなど)
23. 預貯金関係の証明 … 所有する銀行口座などの通帳全頁コピー(収支状態、生活費の流れの確認)
24. 住居に関する資料 … 不動産謄本または賃貸借契約書コピー、合わせて住居の間取り図
25. 交際関係資料 … 通話記録明細(SKYPE、LINEなどの履歴印刷物)、スナップ写真(画像データ)、手紙、他
他)個々の状況に応じて提出する資料
26. 子供関係 … 妊娠証明書、母子健康手帳、出生証明書(出生届受理証明書)、戸籍謄本、住民票写し、在籍証明書など
27. 離婚関係 … 申請者本人に離婚歴が有る場合、離婚した相手の戸籍謄本など
28. 嘆願書 … 親族、友人、知人、職場の方から
*海外で手配する各種証明書は取得に時間を要しますので、婚姻手続と重複するものなどを整理して計画的に手配します
*発行書類に関しては申請前3ヶ月以内に取得したものに限定されます(海外の機関発行のものは6ヶ月以内)
*個々の状況に応じて更に提出書類を追加します(違反内容、家族関係、経済状況などで総合判断します)
指定書式の陳述書や配偶者の質問書には様々な項目が網羅されています。でも、更に細かいところまで正確に伝える為には交際経緯の説明書面を別途準備するほうが良いでしょう。出会った経緯、交際期間中の出来事、婚姻に至る過程、親族などとの交流実態、色々な要点を抑えて仕上げます。正確な状況把握、丁寧な理由説明の作文が苦手な方は書類作成代行を含め総合サポートのご検討をおススメします。
『在留特別許可(ザイリュウ-トクベツキョカ)』、『在特』とも呼ばれる黒を白に変える魔法のような処分。
本来ならばその法違反により国外退去(退去強制処分)となる所、日本での滞在を継続するだけの特別な事情(止むを得ない状況)を考慮して、特別にその後の正規在留を許可する処分の事です。通常の在留関係の手続とは異なり、在留特別許可を求めて申請する行為は存在しません。退去強制手続を進められた結果、最終処分として受けられる例外的で”特別”な判断です。
この在留特別許可、その手続の流れや判断基準は結構変遷しています。時期によっては出頭後1ヶ月程度で在特判断が出ていた、日本人と婚姻関係に有ればほとんどが大丈夫だったような時代も有りました。ですがここ最近は非常にシビアになっていると感じます。シビアと言うのか、本来の違反処分として妥当と言うのか、いずれにしても出頭する側にとっては厳しい状況に有ります。在留特別許可はやはり”特別”な場合にのみ下される処分なのだと痛感させられます。
*手続結果が出るまでは相当な期間を要しますので、当然ですが十分に「覚悟」する事が必要となります
当事務所では、まずは不法滞在状態の正確な状況把握に注力します。様々な視点から分析して個々の状況に見合う選択肢、可能なサポートをご提案致します。直ぐに帰国を目指す場合、何とか日本に留まりたい場合、制度の説明を含め正しく現状を理解してもらいながら、希望するゴールを一緒に目指します。日々積み重なる法違反状態への後悔、発覚するリスクに怯えて暮らす不安、早く何とかしましょう。当方へ連絡を頂いても通報はしません、まずは一度ご連絡下さい。