日本で暮らしている外国の方々は許可を受けて滞在しています。
観光などでの一時滞在は「短期滞在」、学生なら「留学」、お仕事なら「技術・人文知識・国際業務」や「技能」や「経営・管理」、家族関係であれば「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」や「定住者」など。
これ以外にも様々な在留資格が有り、それぞれの条件を満たした場合に許可を受けられます。
でも、実際には許可を受けないで滞在している方も少なからず存在しています。いわゆる不法滞在の状態です。
許可無く日本国内に留まっていること、それ自体が法違反になっている状況です。
そうした不法滞在にも幾つかのパターンが存在します。
不法滞在(ILLEGAL STAY)と言う言葉、ニュースなどでも耳にしますね。
またオーバーステイ(OVERSTAY)も同じように広く知られている言葉でしょう。
同じように使われる事も多いですが、厳密にはこの二つは意味が異なります。
オーバーステイは不法残留(元々は適法な許可を受けていたけど、今は許可が切れている)を意味します。
多いのが「短期滞在」の許可で入国、その在留期限後も日本から出国しないパターンです。
一方、不法滞在とは、オーバーステイ(不法残留)も含めた無許可の違法な在留状態全てを意味します。
始まりは適法 ) 不法残留=オーバーステイ(在留期限が切れた後も無許可で滞在している状態)
*元々は適法な在留許可を受けていたが、期限が切れた後も日本に留まり続けている状態
そもそも違法 ) 不法在留(不法入国、不法上陸によって滞在をしている状態)
*上陸審査を受けていない密入国、偽変造旅券などを使い許可を受けている(表面上は適法滞在にも見える)状態など
不法残留も不法在留もどちらも法違反の状態です。
ただ、その後の違法状態の解消手続において区別される部分が有ります。
そもそもの違法状態となった入口(スタート)は何なのか、きちんと把握する事が必要です。
不法滞在をしていても、とにかく日本を離れたい状況になる事も有るでしょう。
本国で家族が待っている、潜伏生活がしんどくなった、など。
そのような場合、帰国するためには最寄りの警察や出入国在留管理局(入国管理局)へ出頭する事が必要です。
出頭して必要な手続(取調べ、収容、処分など)を済ませれば、帰国する事が可能となります(罰則はあります)。
軽く「ゴメンナサイ、カエリマス」では済みません。
実際、不法滞在(入管法違反)のみであれば、罰則を科せられて国外退去となる事が多いです。
帰国を念頭に置いての出頭方法ですが、比較的違反程度が軽いケースにおいては出国命令制度の利用が可能です。
出国命令制度に当てはまらない場合は、退去強制手続を受けての帰国を目指す以外有りません。
が、どちらにしても違反事実は前科として記録が残り、相応のペナルティを受ける事になります。
違反状態でも以下の条件を満たす場合には、出国命令制度を利用して帰国する事が可能です。
この制度を利用しての帰国の場合、その後の日本への上陸拒否期間は1年となります。
退去強制処分では最低5年ですから、比較すると罰則内容が軽く感じられます。
但し、1年後の日本入国を保証してはいません。
条件 1 ) 自身で出入国在留管理局(入国管理局)へ出頭
条件 2 ) 出国の意思を固め、直ぐに日本から出国可能
条件 3 ) 不法滞在の中身が不法残留=オーバーステイ(元々は適正な在留許可を受けていた)
条件 4 ) 条件3以外の退去強制事由に該当していない
条件 5 ) 過去に退去強制処分、また出国命令を受けていない
条件 6 ) 窃盗など一定の法違反で懲役刑、禁固刑を受けていない
出国命令の手続では帰国便チケットの準備が必須です。
だいたい出頭から2週間程度で帰国するように処分を受ける事になります。
条件を満たすなら、直ぐに出頭準備を始めましょう。
出国命令制度の条件に当てはまらない場合、直ぐに帰国したいなら退去強制処分を受けましょう。
退去強制処分を目指すのは少し不思議な状態ですが、出頭に必要な準備を進めましょう。
違反状態や違反歴によっては出頭した時に収容されます。
戻れないことを念頭に身辺整理も進めておきます。
『在留特別許可(ザイリュウ-トクベツキョカ)』、『在特』とも呼ばれる黒を白に変える魔法のような処分。
本来ならばその法違反により国外退去(退去強制処分)となる所、日本での滞在を継続するだけの特別な事情(止むを得ない状況)を考慮して、特別にその後の正規在留を許可する処分の事です。通常の在留関係の手続とは異なり、在留特別許可を求めて申請する行為は存在しません。退去強制手続を進められた結果、最終処分として受けられる例外的で”特別”な判断です。
この在留特別許可、その手続の流れや判断基準は結構変遷しています。時期によっては出頭後1ヶ月程度で在特判断が出ていた、日本人と婚姻関係に有ればほとんどが大丈夫だったような時代も有りました。ですがここ最近は非常にシビアになっていると感じます。シビアと言うのか、本来の違反処分として妥当と言うのか、いずれにしても出頭する側にとっては厳しい状況に有ります。在留特別許可はやはり”特別”な場合にのみ下される処分なのだと痛感させられます。
*手続結果が出るまでは相当な期間を要しますので、当然ですが十分に「覚悟」する事が必要となります
当事務所では、まずは不法滞在状態の正確な状況把握に注力します。様々な視点から分析して個々の状況に見合う選択肢、可能なサポートをご提案致します。直ぐに帰国を目指す場合、何とか日本に留まりたい場合、制度の説明を含め正しく現状を理解してもらいながら、希望するゴールを一緒に目指します。日々積み重なる法違反状態への後悔、発覚するリスクに怯えて暮らす不安、早く何とかしましょう。当方へ連絡を頂いても通報はしません、まずは一度ご連絡下さい。